マーガリンってなぜダメなの?
2024.09.04
 マーガリンは、フランスのナポレオン3世が人口増加、相続く戦乱で乳製品が不足したため、バターの代用品として懸賞募集したのがきっかけで発明されました。牛脂から得た透明の油に同量の牛乳を加えて乳化させたバターの様な製品をギリシャ語で真珠を意味するマーガリンと命名。その後、家庭用電気冷蔵庫の発達とともに冷蔵庫から出してすぐに塗れない当時のマーガリンは衰退しました。ところが、20世紀初頭「硬化油」(ラードのように常温で固体化する油)が発明され、従来不可能であった魚鯨油までを食品固形脂肪としてマーガリンの主原料することができるようになり復活しました。
 現在の日本のマーガリンは、乳脂肪を含まない食用油脂に水等を加え、乳化させた可塑性(自由に形を変えられる)のある油脂で、油脂を80%以上含まれているものです。この油脂に「硬化油」が利用されます。硬化油の原料には、ヤシ油やコーン油などの植物性が使われますが、業務用では魚油も使われることがあります。これらの油に水素ガスを反応させて硬化油をつくるのです。化学的には、不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変化させると言います。この硬化油を造る過程でトランス脂肪酸が発生します。ここで、乳化剤を混ぜ、まったく水が含まない状態がショートニングです。トランス脂肪酸はWHO(世界保健機構)とFAO(国連食糧農業機構)の「食事、栄養及び慢性疾患予防に関する合同専門家会合」で、食事からのトランス脂肪酸の摂取は極めて低く抑えるべきとして、1日最大でも総エネルギーの1%未満にするように警告しています。そして、マーガリンは、加熱することにより、さらにトランス脂肪酸が増加します。
 マーガリンはバターのコピー、フェイク品です。バターはマーガリンより値段が張りますが、冷蔵庫から出したばかりだと硬くて使いにくいため、使う量も少量ですみます。香りも強いので、マーガリンより油の摂取が少なく、長い目で見ると経済的です。動物性脂肪の摂りすぎは気になりますが、何よりバターは伝統食品の1つです。砂糖もそうですが、摂りすぎが問題であって、そのものが悪いわけではありません。話は替わりますが、コーヒーフレッシュもフェイク品です。

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